お仕事文庫

着物販売員へ転職した私の体験談

着物販売員へ転職した私の体験談



きっかけは転職フェア

私は時計販売店に新卒入社したのですが、入社から2年ほど経った頃、給料に対する不安から転職を考えるようになりました。

時計販売の仕事にはやりがいも感じていましたが、個人の売上が良くても悪くても同じ給料で昇給もわずか。学生時代の友人と比べても給料が低く、もっと個人の成績が給料に反映されるような仕事がしたいと考えるようになったのです。

とはいえ積極的に転職活動をするわけでもなく、まずはミイダスリクナビNEXTとに登録して、たまに求人をチェックする程度でした。

リクナビNEXTに登録して1か月後くらいだったと思うのですが、求人案内メールで私の住んでいた京都で転職フェアが開催されることを知りました。
実際に会社の採用担当と話ができ、面接ではないので給料などつっこんだ話もできる!とメールに書かれていたので、「もしかしたら希望する仕事が見つかるかも」と淡い期待をいだいて行くことにしました。

その転職フェアは100社ほどの企業ブースがあり、人気企業のブースは行列があったりと、人も多く賑わっていて企業を探すのも大変だったのですが、採用担当の方の雰囲気や販売職の募集というところに魅かれ着物販売員の会社のブースに訪問。
実際に転職したから言えるのですが、着物販売員はかなり口達者です。
話をした先輩の話術にのせられた面もありますが、完全実力主義でインセンティブ制度がしっかりしていることが魅力的だったので、その会社に応募し転職することになったのです。

ちなみに私は転職フェアで応募意志を伝えると後日いきなり最終面接となりました。

着物販売員の仕事は情報収集と提案力が重要

着物販売員へ転職した私の体験談2
日本人の着物離れと言われている現在ですが、夏になると浴衣や甚平、習い事(琴やお茶、お花)や成人式、冠婚葬祭など着物を着る機会は意外と多いものです。また、年配の方で着物が楽だという方もまだまだいらっしゃいます。

着物販売員の仕事は、着物はもちろんですが、それに付随する和装小物などの販売がおもな仕事です。

お客様とコミュニケーションを取りながら、好みに合わせて商品を提案したり、コーディネートをアドバイスするなかで、着物をより身近に感じ、知識や理解を深め楽しんでいただくためのトータルサポートを行います。

ただ、販売の仕事である以上、売上金額もとても重要です。少しでも単価の高いもの、関連商品の提案など、お客様に満足していただきながら売上もしっかりつくっていく。そのために商品知識はもちろんのこと、提案力、情報収集力がとても必要になる仕事です。

特に情報収集にはどの会社も力を入れていて、私の職場では「名簿」という、名前・住所・生年月日・家族構成・なぜこの小物が必要なのか、どういった場面で着物を着るのかなど情報収集するカルテのようなものがあり、「成人式前のお嬢さんがいる」「習い事の発表会が間近にある」などの情報を得たときに、次回の展示会へのお誘いや販売拡大に活用しています。

「名簿」はご来店いただいたお客様に限らず、店頭ディスプレイに飾っている着物に番号をつけて、人気柄コンテストと称して通行人の方から書いてもらうこともあります。

着物販売のメインは展示会での販売です。着物は高額品なので仕入れリスクも高く、普段は豊富な品揃えはできません。私の職場では月1回のペースで店舗で開催し、3か月に1回は店外(京都・神戸・奄美大島など)でイベントとして開催していますが、いかに多くのお客様に展示会にご来場いただけるかが鍵となるのです。

特に店外での展示会は毎回1億円近くの売上があるため、たくさんのお客様に展示会のお誘いができるように、多くの「名簿」を持つことが重要です。

また、商品が高額なため、購入いただくときに現金払いという方は少なく、ローンを組まれる方も多いので、月々のお支払いの提案もできるように勉強する必要があります。

店長になれば、全く違う業務となります。店長は売上高よりも営業利益が求められるため(※ちなみに販売員は営業利益をほぼ考えません。自分の売上を上げるために必死です)販売員の値引き率を調整したり、次期店長候補の育成や部下(販売員)のモチベーション維持、年間・半期・3か月計画の作成、1か月の稼働計画、1か月の営業報告等の書類作成がメインの仕事になってきます。

完全実力主義のインセンティブ!毎月がボーナス月

職場にもよりますが、完全実力主義の会社が多いので、年齢に関係なく、販売員個人で売上がある一定の基準を越えればインセンティブ(報奨金)が給料とは別に支給されます。

店長であれば、月の営業利益が予算に対しプラスのときにインセンティブが支給されるので、7月、12月の決まったボーナスがない会社ですが、毎月がボーナス月みたいな感じです。

そのほかにも、店長手当や転勤OKであればその手当もあります。転勤NGのエリア社員という制度もありますが、出世を希望するなら全国転勤OKの方が有利だと言われているので、私は転勤OKにしています。

全国展開の会社なので北海道から沖縄まで店舗があり、転勤も多く、日本の色々なところに行けるのは楽しいです。

また、お客様とのつながりが深くなると、あなたにもっと早く知り合いたかった、今までの呉服屋の担当よりもあなたの方が私の好みをわかってセンスもいい。と言っていただけたり、ご主人や奥様、家族の皆さんと仲良くなれば、夕食に誘っていただいたりもします。

余談ですが、夏の浴衣を買いに来る若い女性とお近づきになれ、一緒に花火を見に行ったり、食事に行けたりと、職場がちょっとした出会いの場になることもあるんですよ。

着物販売員の仕事のつらいところ

名簿から展示会に電話でお誘い(動員)をするのですが、月に1回は展示会があるため、その名簿数が少ないと、毎月同じ人に電話をかけることになり、「前は結婚式に足袋だけが必要で買いに行っただけだから」「もう案内や電話は結構です」はしょっちゅうで、「しつこい!」など断り文句の応酬です。ときにはご主人が電話に出られて「何や、うちのやつが俺に内緒で着物買ってるんか」と怒鳴られることも。

また、転勤族なので、物価が高い地域へ転勤となると、家賃の安いところを探すのにも苦労します。私の会社には地域手当や引越し手当がなく、そんなに給料が高くないときには敷金・礼金で引越し貧乏にもなりました。

年配の方に可愛がられる人は向いている?

仮着付けをしてお似合いですよと言っても簡単に売れるものではありません。長くなると1つの販売に1時間、2時間は当たり前になりますから、忍耐強く、どこがどう良いのか、特にTPOを連想させるような話術が巧みな人や、情報収集が必要なので、話上手、聞き上手な人はうまくいくでしょう。

また男女問わず年配の方に可愛がられる人なども向いていると思います。商品知識やローンの知識などは経験がものをいうところもありますが、やっていくうちに身についていくものなので、未経験でもコミュニケーションに自信がある人にはおすすめです。