お仕事文庫

元ITブラック企業で働いていたプログラマーが伝えたいこと

元ITブラック企業で働いていたプログラマーが伝えたいこと

私は10年以上IT業界で仕事をしていて、Webデザイナー・Webプログラマー・組み込みプログラマー・Webディレクターなどをやってきました。

その私がブラック企業で働いていた時の話を紹介します。



働いていたブラック企業を紹介

私はすでに5社で働いたことがあるのですが、そのうちの2社がなかなかのブラック企業で、1社は1ヶ月で辞めざるを得ないレベルのブラック企業でした。

1社目のブラック企業はとにかく人手不足で、社内に人が7人しかおらず、営業の女性と事務の女性を除くと5人の体制でした。

入社していきなり全く未経験の言語を使ったシステム開発を一人でやることになり勉強しながらやったわけですが、分からないところを聞こうにも上司は他の案件で手一杯でこちらまで見る余裕は無し。他の社員も余裕が全く無く、聞きたい時に聞ける人がいない状態で常に終電まで働いて朝9時出社…。
土曜日にも会社に行っていましたが1ヶ月で心身ともに疲れ果て、この会社ではこれ以上働けないと感じ退職することにしました。

2社目のブラック企業は1社目を辞めて転職活動をして、応募2社目で内定を貰った会社でした。

この会社は事務所がマンションの1室というベンチャー中のベンチャーといった感じでしたが、仕事内容は大企業との直案件が多く、給料も悪くはなかったので2年半ほど働いていました。

ただ、今考えると相当なブラックで、2ヶ月連続で休み無し、そのうち2週間は会社に泊まり込みという状況でした。もちろん年棒制という名の残業代無し。最初からタイムカードと言う概念すら無いブラック企業の鏡のような会社でしたね。

前の会社をすぐに辞めてしまっているので、この会社はそんなにすぐには辞められないと結構がんばりましたが、お世話になった先輩が退職したタイミングで私も退職することにしました。

IT業界にブラック企業が多い理由

元ITブラック企業で働いていたプログラマーが伝えたいこと2

多重請負問題

IT業界は多重請負の構造となっている場合が多く、2次受け3次受けのような会社の場合は給料が安い上に納期も短い炎上案件の仕事が多くなります。

例えば、大手企業のシステム開発案件を直請けでやった場合、300万円の予算だったとしても、2次受けの場合はマージンを引かれた270万円で受注することになり、3次受けの場合は更に引かれて250万円になります。これはまだマシな方で予算1000万が実際に開発する会社には250万円で発注となっていたりする場合もあります。

その結果、どれだけ働いても給料が上がらない底辺プログラマーがブラック労働を強いられるというわけです。

クライアントの言いなり問題

私が働いていた会社の場合は大企業との直請け案件でしたが、その会社の担当者が非常に扱いづらい人で、開発途中に気まぐれで仕様変更を何度も言ってくるというのが難点でした。

戻りが発生するとその分工数が増えるのは当たり前で追加予算が必要なのですが、クライアントの方からは予算が決まってるから追加は無理だと言われ、さらに工数は増えているけどリリース予定は動かせないの一点張りでした。

こちらがどれだけ工数が増えるなら開発日数も変更してくれないと無理だと言っても「それはおたくの計画がまずいんじゃないのか?人員を増やして対応すればいいじゃないか?」などと取り合ってくれず、しょうがなく2週間連続メンバー泊まり込みで無理やり間に合わせるという状況に。

システム開発やWebサイト制作会社の場合はクライアントの発言力が強くなり、それを出来ないと言えば別の会社に仕事を取られることになるため、常に無理をしてクライアントの要求に応えざるを得なくなるのがブラック化の原因の一つなのです。

ブラック企業での働き方

ブラックIT企業で働いていた時のエピソードを少し紹介してみます。

まず、朝9時に出社し仕事開始。昼、お腹が空いたら引き出しに買っておいたカロリーメイトが置いてあるのでそれで空腹を満たす。
その後もひたすら働いて夜お腹が空いたら引き出しからカロリーメイトを取り出して食べる。
その後また働いて夜23時過ぎぐらいに終電を気にし始める。納期が近いと終わらせないとダメな仕事があるため終電を逃すこともしばしば。
終電が終わった時は夜2時ぐらいまで働いて給湯室で歯をみがき、会議室へ向かい椅子を3つ並べて就寝。
朝8時頃また起きてコンビニへ行ってその日のカロリーメイトなどを購入…。

2週間泊まり込みだった時は、週に2回ぐらいは近くの漫画喫茶でシャワーを浴びる生活でした。

長い時は一日16時間ぐらいデスクで作業をしているので、座り過ぎで腰をやられるリスクもすごく高いです。ある時、先輩は朝9時に出社して次の日の昼12時までずっとパソコンに向かって作業をしていたことがありました…。ブラック企業で働くにはタフさも必要なスキルと言えるでしょう。

ブラック企業の見分け方

ブラック企業に入って働きたくないという方のためにブラック企業の見分け方を少し紹介してみます。

正直ブラック企業は外から見るとブラック企業に見えない場合が多く、見極めるのは困難です。買収などで大きな会社の傘下となっていればその企業のネームバリューで求人を行っていることもありますし、その場合は非常にホワイトな環境(親会社は)に思えたのに入社してみると全然違ってたということも多いようです。

私が働いた2社目の会社は一部上場企業の連結子会社で、取引先は非常に名の知れたテレビCMなどでもよく見る企業ばかりでした。

ですが、その会社はマンションの一室で5人で仕事をするような小さな会社で、常に人手が足りておらず徹夜や休日出勤が当たり前のブラック企業でした。残業代は何だそれ?って感じだったし、ボーナスは2年で一度も出たことがありませんでした。

大きな会社だからと言って無警戒に入社してしまうと、入ってからイメージと違ったということになりかねませんので注意してください。

面接で会社の雰囲気を確認する

しっかりした会社の場合、面接がかなりちゃんとしています。1次面接でも面接官の数は3名以上が普通ですし、受付での対応も丁寧です。

これがブラック企業の場合は何か違和感を感じると思います。会議室が普通と違っていたり、会社の雰囲気が何かおかしかったり、面接官が1人だけで面接の内容もアバウトな感じの質問がほとんどだったりして、しっかりしてる感じが伝わってこないことがあります。(私もある会社の面接で入社する前提で話をされましたが、おそらく人手が足らなすぎて誰でも入社させる気満々だったと思います。さすがに怪しすぎたので選考を辞退しましたが…)

たまにちゃんとした会社でも変わった会社はしっかりしてない場合もありますが、それは例外的なかなり個性の強い会社である可能性があります。

夜、会社に行ってみる

ブラック企業の特徴として常態化した長期労働というものがありますが、ブラック企業では毎日23時を過ぎても仕事をしている場合があります。

夜の22時ぐらいに会社の電灯がついているかどうか確かめに行けば、長時間労働なのかを見極めることが出来るでしょう。
2回ぐらい行って電灯の光が見えたら警戒した方が良いかもしれません。

ホームページがかなりしょぼい

ブラック企業は自社のホームページを作る余裕が無いので非常にしょぼいホームページである場合があります。会社のホームページがトップページと会社概要とお問い合わせぐらいで、フリー素材だらけの素人っぽいサイトだったら警戒が必要です。

私が働いた1社目のブラック企業も社長の手作りホームページで、素人感がかなり強いホームページでしたし、2社目もトップ1ページしか無いホームページでした。

それなりにしっかりとしたホームページがある会社は、そういうところに時間を使う余裕のある会社である場合が多いので、ホームページがしっかりした会社を選ぶというのは重要なポイントだと言えます。

ブラック企業を利用してキャリアアップ

元ITブラック企業で働いていたプログラマーが伝えたいこと3

ブラック企業は時として踏み台として非常に使える場合があります。ブラック企業で炎上案件をいくつかやれば作業の効率化が身についたりしますし(作業効率化しないと寝る時間が無くなるから)、大きな会社との協業などで非常に優れたソースコードを見たり触ったりする機会が多く、成長に繋がる場合もあります。

ブラック企業は人手が足りていない上に次々と人が辞めていくので、2年働いているだけで上司が全員いなくなり、早い段階で大きな仕事を担当する機会を与えられたりします。

そのためスキルアップのチャンスは多く、転職する場合やフリーランスとして独立する場合に使えるキャリアが手に入りやすいと言えます。

私もフリーランスとして独立して3年以上経ちますが、ブラック企業で得られたスキルで仕事を続けることが出来ていますし、同じ会社で働いた後輩も大手企業の社内Webディレクターとして年収2倍以上で定時退社というホワイト環境に転職することが出来たそうです。

このようにブラック企業で働くのはとても苦しいですが、時として非常に使える踏み台になってくれることもあるということです。もしも実務経験が無くて転職が厳しいという人がいるなら、1~2年ブラック企業で修行して一気にスキルアップするというのも一つの手だと思います。


まとめ

IT業界は多重請負や競争過多により、どうしてもブラック企業が多くなっていますが、最近は人手不足でブラック企業には人が集まりづらくなっているので、徐々にホワイト企業が増えています。

PCの開発環境も昔ほどスペックの低いマシンではなく、処理速度が上がり作業スピードも早くなっていたり、サーバーのスペックが上がっていてフリーズやバグが減っているというのも良いことだと思います。

今後、IoTやAI技術の開発を始めとして、技術者不足による賃金上昇などでIT業界はもっとホワイトになっていくと思われますが、ブラックな企業が無くなることはないでしょう。ブラック企業をしっかりと見極める目を持つか、ブラック企業であえて働いてスキルアップする道を選ぶのかはこの記事を読む読者次第です。

一つ言えることはIT業界はまだ成長途中の業界であり、他の産業に比べて希望のある業界だということでしょう。ブラック企業を恐れてIT業界を避けるのは非常にもったいないことだと思うので、ITに興味がある人は是非とも挑戦してもらいたいです。